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徹底した“疲労管理”で安全運航に取り組む。~#空の仕事人 #04~

こんにちは。ZIPAIR note編集部です。

スタッフたちが仕事への想いと共に自らの業務について紹介していく連載「空の仕事人」。第4回は、運航乗務員の小林正和さんです。

安全運航に関わる問題として航空業界で着目されている乗務員の“疲労管理”について、独自の方法で管理をしているという小林さん。生活の中でどのようにコントロールをしているのでしょうか。

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こんにちは、運航乗務員の小林です。

私たち運航乗務員の仕事は、皆さんもよくご存じかと思いますが、飛行機を操縦して目的地まで安全にお客さまをお連れし、貨物を運ぶことです。

言葉で表現するとシンプルですが、そこに至るにはさまざまな資格の取得や訓練が必要です。例えば私は韓国・東南アジア路線を飛ぶ便で機長を務めていますが、機長としてホノルル線に乗務するには別の資格を取得しなくてはなりません。

さらに乗務当日も、飛行ルート上や目的地の天候確認をはじめとする入念な準備や打ち合わせ、飛行前の機体点検など、一つ一つの業務を積み重ねることで、ようやく飛行機を問題なく出発させ、運航することができるのです。

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安全運航に欠かせないこれらの業務を確実にクリアするために私が特に大事だと考えているのが、常にベストコンディションで臨むことです。

もしかすると当たり前だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私たち運航乗務員の業務は昼夜を問わず行われますし、長時間のフライトや、時差の影響も受けるという少し特殊な環境での業務になります。昨今の航空業界では、運航乗務員の疲労に起因したパフォーマンスの低下が注目されているほどなのです。

近年、日本においても疲労管理が始まり、ZIPAIRでも乗務員の勤務基準を規定化したり社内に委員会を設置したりすることでこの課題に取り組んでいますが、私個人としても疲労管理のために取り組んでいることがあります。

それは、睡眠管理です。

ZIPAIRが運航している便は、ソウル線以外はすべて深夜便です。例えばバンコク線ですと、バンコクを日本時間の深夜1時半頃に離陸し、朝7時半頃に成田国際空港に着陸するスケジュールになります。つまり、生理的に理想の時間帯に睡眠をとれていないという状況になるのです。そのほかの路線でも、同じようなことが発生します。

1日6~8時間とることを推奨されている睡眠がとれず、そのまま睡眠不足が重なっていくと“睡眠負債”として溜まっていきます。すると、それが健康障害や集中力の低下につながるのです。航空医学などを研究する米国航空宇宙医学会でも「疲労(脳の疲労)を回復させるものは睡眠であり、疲労リスク管理とは睡眠管理」と考えられています。

そこで疲労を適切に管理してフライトに支障が出ないよう、睡眠時間をコントロールするために日々の生活に取り入れているのが、Apple Watchと睡眠記録用のアプリです。

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スマートフォンにアプリをインストールしてApple Watchと連動させることで、Apple Watchで測った心拍数やモーションセンサーをもとに“1日何時間寝たのか”“良質な睡眠がどれだけとれているのか”を把握することができます。

例えばバンコク線のような夜間のフライトでは、フライトの前後に長めの睡眠をとったり仮眠をとったりして睡眠負債が溜まっていかないようコントロールすることを意識しています。

このアプリを使ってみると「よく寝ることができたな」という日は深い睡眠の時間が長く、自分の感覚とデータは合っているように感じています。数値として視覚化することで「しっかりと睡眠時間を確保できている」という安心感にもつながります。ご自身の睡眠が気になっている方は、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?

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ZIPAIRは、これまでにない新しいコンセプトのエアラインです。快適なフライトをご納得いただける運賃でご提供していくことで、私はZIPAIRがさまざまな人にご利用いただけるエアラインでありたいと常々思っています。

私は以前、家族でハワイへ行こうと計画した際、あまりの航空運賃の高さにハワイ旅行を断念し、行き先を変更してしまったことがありました。このような経験から、旅費の問題で家族での海外旅行を諦めたり、ためらったりしてきた方にとっても、新たな選択肢となれればと考えております。

もちろん“安かろう悪かろう”ではお客さまに選んではいただけません。皆さんに「ZIPAIRは安心して家族で乗れる」と思っていただけるよう、私たち運航乗務員は安全性・定時性・快適性を担保したフライトの実績を積み重ねていきます。

最後に、私が感じている運航乗務員の仕事における醍醐味をお伝えしたいと思います。

それは空の上から見る景色です。夜が明けようとしている空の向こうからハワイ諸島の島影がうっすらと見えてくる瞬間や、キラキラと輝く街の灯りで彩られた東南アジアの夜景……。

コックピットからの風景はいつも魅力的で、私自身のモチベーションになっています。今はまだ厳しい状況が続いていますが、お客さまで満席となった飛行機でこの美しい空を飛ぶことができる日を待ち遠しく思っています。

地上で雨が降っていても、雨雲を抜ければ快晴の空や星空が広がっている。同じように、このコロナ禍を抜けた先に明るい未来があると信じて、これからも安全運航に努めてまいります。


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