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飛行機が安全に飛べるように。数百万のパーツでできた機体を整備するうえで大切なこと。

こんにちは。ZIPAIR note編集部です。

運航を技術的に支えている機体の整備は、大小さまざまなパーツで構成される機体を整備士が二重、三重のチェックをすることで皆さんと空の安全を守っています。

今回は整備を統括する取締役 兼 メンテナンスチーム責任者の鈴木正美に、点検・整備作業の内容や意識していることを聞きました。

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プロフィール/鈴木正美
1993年JAL(日本航空)に整備職として入社。整備面における構造関係の現場を経験した後、ボーイング747-400の整備士資格を取得。その後、エアバス社へ出向し、ドイツでエアバスA380の構造や強度計算のセクション業務に従事。帰国後、JALの整備部門にて機体全般に関する不具合への技術的対応を行うサービスエンジニアリング業務に服務し、現在はZIPAIR Tokyo取締役・オペレーション副総括としてメンテナンスチームの責任者を兼務する。

安全なフライトを実現する”妥協しない整備”とは。

―まずZIPAIRにおける機体の整備について概要を教えてください。

機体の整備は、大きく「運航整備」「機体重整備」「エンジン整備」「装備品整備」という4つの仕事に分かれています。整備全般は、JALグループの航空機の点検・整備を行うJALエンジニアリングにて、成田国際空港に整備拠点を構えて行っています。

それぞれの内容を簡単にお話しさせていただきますね。

運航整備
空港に到着した航空機の、次のフライトまでに行う点検整備作業。運航に携わる整備士が機体の状況を確認し、少しでも不具合の兆候があれば直ちに修復などの作業を行い、航空機の安全な状態を維持します。
機体重整備
通常1~2年ごとに実施する定期整備。機体構造、システムをはじめ、電気装備品、客室装備品など、細かい分野に分けて、各分野の専門家を配置。1~2週間かけて毎日100名以上の整備士が機体の隅々まで分解し、点検します。
エンジン整備
航空機のエンジンを分解し、部品の分解や洗浄、組立を中心に整備します。エンジンブレード1枚、ボルト1本まで検査。修理や点検、試運転まで実施したうえで機体に取り付けられる状態に仕上げます。
装備品整備
大小問わず機体に取り付けられた部品(例えば動翼や運航乗務員がコックピットで見るような液晶の画面など)の点検・整備を行います。

実際に整備を実施するJALエンジニアリングがZIPAIRの機体をしっかり整備してくれていることを確認するのが、我々ZIPAIRのメンテナンスチームです。

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―整備に携わる方は、どのような意識で業務に取り組んでいるのでしょうか。

現場で働く整備士は、空を移動する人々の命を守るため、航空機を決められた時間までに、快適にフライトできる状態にするべく点検・整備を行います。フライト中も不具合なく目的地に到着できる航空機を仕上げることが、一番の喜びですね。時々、運航乗務員から「よい航空機にしてくれてありがとう」と声がけしてくれることもあるんですよ。

―点検・整備をするうえで大切なことは何でしょうか。

私の経験を踏まえると、作業を行うにあたり「妥協しないこと」「自分で納得できるまできちんと調べること」「根気強くやり続けること」という、3つの要素がとても大切だと考えています。

航空機を定時運航させることを目標の1つにしていますので、離陸前の短い時間で作業や回答を求められる場面がとても多いんです。そういう時でも、絶対に妥協しない点検・整備を徹底することが求められますので、マニュアルをしっかりと読み、最短で自分で確認し、納得して「この機体はフライトできる」という揺るぎない確信を持つのがポイントだと考えます。

―機体の整備における一連の流れを教えてください。

整備の内容にもよりますが、航空機を格納庫に入れて、まず作業内容を確認します。それから工具、部品の準備をして実際に作業し、作業後にその作業者である整備士が一つ一つ検査をするのがおおよその流れですね。

さらに、航空機メーカーからも飛行日数・時間ごとに実施する作業が明確に指示されています。メーカーが指定する時間を1分1秒でも越えないよう全体の流れに組み込んで作業を行うというのが、機体の整備です。

機材の不具合が起きないようにすることは大前提ですが、皆さんに機内で快適に過ごしてもらうため、細部まできちんと仕上げて機材を提供することが、私たちの誇りであり一番の役割と考えています。

―機内の設備はどういう部分を点検するのでしょうか。

一番分かりやすいのは座席まわりの設備ですね。見た目の清潔さはもちろんのこと、リクライニングやカバー、肘掛け、テーブルなどを含めた可動部分の確認をします。さらには、安全に関わるシートベルト部分もしっかり機能するかどうかを注意して点検しています。

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―JALの機体の整備と、異なる部分はあるのでしょうか。

機体の整備については、JALの機体を整備するのと同じJALエンジニアリングにて実施されており、同じ品質を維持するという目的のもと、全く同じ行程を踏んでいます。

ZIPAIRならではという点ですと、整備をよりよいものにしたいという考えから、我々メンテナンスチームで日頃から気づいた点をJALエンジニアリングにフィードバックし、お互いに気づいたところを言い合い、さらなる品質向上につなげられるように協力し合っています。


整備の観点からもチャレンジし続ける。

―整備面で、新型コロナウイルス感染症の予防対策を行う予定はありますか。

現在、航空機に導入できる抗菌機能を航空機製造に関わる企業と協力し、検討しています。というのも航空機を改修するためには、航空機メーカーと航空局の許可が必要になりますので、簡単に機体を改修できるわけではありません。ですが、私たちは皆さんに安全・安心を提供するエアラインとして、時代に合ったサービスを積極的に導入していきたいと考えています。

―今後も技術や取り組みを通じて、フライトを支えていきたいですね。

運航乗務員や客室乗務員とは異なり、乗客の皆さんとはなかなか接点が少ない職種ですが、スムーズで快適なフライトを提供するため、昼夜、点検に次ぐ点検、整備をJALエンジニアリングに実施いただいており、常に良い品質の機体を提供していくよう努めていきます。

ZIPAIRは、新しい時代のエアラインとしてどのようなニーズがあり、どのようなサービスが求められ喜んでもらえるかを日々模索しアップデートしています。安全で安心なフライトを前提に整備面でも積極的にチャレンジし、私たちのスタンダードが未来のエアラインのスタンダードになるよう、メンテナンスチーム一丸で取り組んでいきます。

そんな私たちの気持ちが、ご搭乗いただく方にちょっとでも伝われば幸いです。

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