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多様化が進む時代を見据えた制服製作・前編

こんにちは。ZIPAIR note編集部です。

2019年に行われたZIPAIRの機体デザイン発表会。そこでお披露目した、スタッフが独自に組み合わせを楽しめる制服とスニーカーの採用が、航空業界の制服における新たな試みとして大きな話題を集めました。

客室乗務員がカウンター業務など地上職員として働くZIPAIRにおいて、業務内容に合わせて制服を選べる「着回し」というコンセプトは理にかなっていると言えますが、どのようにしてその考えに至ったのでしょうか。

そこで今回は、制服製作に携わった、SIX・矢後直規さん、デザイナー・堀内太郎さん、ZIPAIR・宍戸祐子にインタビュー。制服を通して見るZIPAIRが目指す姿、そしてこれからの時代における制服のあり方を紐解きます。

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プロフィール/矢後直規(SIX)
広告からアーティストのCDジャケットまで、数々のアートワークを手がける世界的アートディレクター。ZIPAIRとの関わりは制服だけでなく、ロゴからブランド全体のアートディレクションも担当。

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プロフィール/堀内太郎(デザイナー)
アントワープ王立芸術アカデミーを首席で卒業。2010年に「TARO HORIUCHI」、2018年に「th products」を立ち上げる。デザインを担当し、得意としている日常に溶け込むシンプルかつ実用的なデザインをZIPAIRの制服にも落とし込んだ。

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プロフィール/宍戸祐子(ZIPAIR)
1997年に客室乗務員としてJAL(日本航空)に入社。2013年に同社を退社後、2018年にティー・ビー・エル(現ZIPAIR Tokyo)に入社。客室乗務員の管理業務や乗務を行う。制服製作においても、豊富な経験と知識をチームの一員として発揮。

主役は“人”。今までの常識にとらわれないZIPAIRの制服。

―ZIPAIRの制服製作において、最も重視した点は何でしょう?

矢後:とにかく、それまでの制服に対する概念を一新したかったんです。

日本は制服文化が根強い。学校から百貨店まで、どこに行っても制服を見かけます。ただし、そのどれもが画一的。そこから脱却したかったんです。それこそがZIPAIRの制服作りの命題だと考えていました。

堀内:“制服とは決められた服を着ること”。現状の制服はそれが大前提になっています。でも、性別や役職など着る人のポジションはさまざま。ならば、自由度を持たせた制服があってしかるべきと考えました。

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―それが、スタッフが独自に組み合わせられる制服になっていったと。その新しい提案に迷いはなかったですか?

堀内:なかったですね。僕自身のブランドも、かねてよりジェンダーやジェネレーションを超えた自由度の高いデザインを発表してきましたから。むしろ、枠にとらわれない制服というコンセプトになじみを感じていたぐらいです。

矢後:今までは、エアラインを現すアイコニックな存在は機体でした。ですが、機体は航空機メーカーが作ったもの。となると、エアラインの真の財産は働く人なんです。

制服が働く人のパフォーマンスを最大限に引き出すことが重要なのは当然で、となればそれぞれの仕事内容や、さらにはその日の気分に合わせて組み合わせができる今回のシステムも、ある意味必然と言えます。

堀内:これまでのエアラインの制服は、デザイナーの個性が前面に押し出されてきたと思うんです。もちろん、単純にデザインの面白さで言えばキャラクター性の強いものができる魅力はあります。その反面、時代の変化とマッチしなくなったり、イメージ優先で実用性に難があったり、また着る人の個性を消してしまうことにもなります。

ZIPAIRの制服で目指したのは、そんな押し付けじゃないんです。

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現場の声に耳を傾けて出来上がったデザイン。

―選ぶ必要がない=手間がないというのも制服の魅力だとは思います。ZIPAIRとして、また実際に着用する側としても戸惑いはありませんでしたか?

宍戸:まったくありませんでした。そもそもZIPAIRはこれまでにはない新しいエアラインにしたいと考えている人が集まっていますので、新しい試みは大歓迎なんです。それだけでなく、他社の方からもとても羨ましがられます。

堀内:個人へ貸与するのではなく空港での管理にした点も大きいと思います。運用システムも含めてデザインしている点も新しい試みなのではないでしょうか。

宍戸:空港でレンタルするシステムは個人で管理する手間やストレスがなく、その分制服を楽しめるようになりました。何通りも組み合わせがあるから、飽きがこないんですよね。仕事に対してもモチベーションが上がります。

矢後:いかに現場の悩みを解決するか。それが重要だと考えました。着用する人がストレスに感じる制服なんて本末転倒ですから。

―お三方が膝を突き合わせて打ち合わせする様子が目に浮かびます。作り手として楽しかったんじゃないですか?

矢後・堀内・宍戸:すごく楽しかった(笑)

―“問題を解決する”そのもう一つの策が、スニーカーですね。客室乗務員としてスニーカーの採用はどう思いましたか?

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宍戸:まさしく、待望といったところです(笑)。ヒールだと疲労感が強いですし、万が一の事態でもスニーカーの方が安全に動きやすいですから。

私たち客室乗務員のリアルな声をフィードバックしていただくために、矢後さんと堀内さんには実際に飛行機に乗っていただきました。

矢後:空港内での業務も見させていただきましたが、皆さんすっごく走るんですよ。こんなに走るのかっていうぐらい(笑)。スニーカーの案は当初から描いていたんですが、それを見た瞬間に間違いないと確信しました。

堀内:新しさと実用性を両立する、うってつけのアイテムでしたね。

宍戸:現場スタッフのさまざまな意見をお二人にぶつけて、本当に細かい部分までキャッチボールをした結果完成した制服なので、スタッフ一同本当に喜んでいます。


ひたむきに現場の声に耳を傾け、一丸となって取り組んできた制服製作。後編では「NEW BASIC」なエアラインを目指すZIPAIRの制服製作から見えてきた、これからの時代における制服のあり方について迫ります。

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