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機内食も好きなものを選べる時代へ。料理長と開発担当者が語る、メニュー考案の舞台裏。

こんにちは。ZIPAIR note編集部です。

飛行機に乗る楽しみの1つが、空の上の食事=機内食という方も多いのではないでしょうか。

ZIPAIRでは1年以上の期間をかけて、ジャルロイヤルケータリング(以下JRC)とともにエアラインの個性が光る多彩なメニューを作り出しました。

今回はJRCの総料理長である浜 信彦シェフと、開発担当である企画マーケティング部の太田 萌の2人に、機内食開発の裏側を聞いてみました。

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【右】プロフィール/浜 信彦
有名ホテルや飲食店での経験を活かし、1992年にJRCに入社。現在は成田工場長 兼 総料理長 兼 成田調理部長として、100名以上のシェフとともにJAL(日本航空)やZIPAIRで提供する機内食のメニュー開発を行う。
【左】プロフィール/太田 萌
2018年JRCに入社後、調理部へ配属。ファーストクラスの機内食における調理や盛り付けを担当。その後2019年からプロジェクト推進部でZIPAIRの機内食・機内販売などサービス開発の立ち上げに携わり、2020年にZIPAIR Tokyo企画マーケティング部へ出向し、現在に至る。

機内食が決まるまでの流れとは?

―ZIPAIRの機内食は、ラインナップの豊富さが特徴ですよね。

太田:現在、カレーやちらし寿司など19種類をご用意しています。“ワンボックスでお腹いっぱいになる食事”をキーワードに、JRCと一緒に2019年から約1年半かけて機内食の開発を進めてきました。

また、ホノルル線は東京(成田)発ホノルル行で5種類、ホノルル発東京(成田)行で5種類の限定メニューをご用意しており、こちらは“機内に乗った瞬間にホノルル気分になれる”というイメージで開発しました。東京(成田)発ホノルル行では、上述の19種類を加えたトータル24種類の中からお選びいただけます。

―具体的にはどのように開発を進めていったのでしょうか。

浜:ZIPAIRから機内食全体のコンセプトやイメージを受け取った後、社内スタッフでそのテーマに沿ったメニューを考案し、試作を繰り返しながら社内で企画会議を行います。食材や彩りなどさまざまな改良を重ねて、JRCからZIPAIRへ提案をしました。

―メニューの考案について詳しく教えてください。

浜:普段JALでは実現できないようなメニューを提案することができました。

例えばJALの国際線の機内食は、便数が多いと1日約1万食を作るため、料理に手をかけられる時間や工程が決まってしまいます。それに比べてZIPAIRはまだ便数が少ない分、調理の手数などにかけられる時間があるんです。

そこで今回は20代、30代の若い社内スタッフに、自分が食べてみたい機内食という形でメニューを発案してもらいました。

―どのくらいの数を考案するのでしょうか。

浜:10種類の料理を提案する場合は、20~30種類程度の試作を用意します。その中から社内でいろいろ課題点を見つけ改良し、ZIPAIRに提案するという流れです。

太田:試作が並んだメニュー選定会議ではZIPAIRの各部署から1人ずつ参加し、JRCとともにいろいろな課題点を見つけ、就航ギリギリまで細かい改良をお願いしていました。

味はもちろん、見た目や色味、お客さまが手に取った時に喜んでもらえるかなど、多角的に分析しながらさまざまな意見を盛り込みました。容器が白い分、料理を入れた時の見栄えには苦労しましたね。

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―ホノルル線の限定メニューはどのような特徴があるのでしょうか。

太田:旅行をする際には「現地でこれを食べよう」と決めている方もいらっしゃるかと思いますので、飛行機でしっかり食べるというものより軽くつまめるものを多くしています。

浜:具体的には、ラップサンドやロコモコなどを路線限定メニューとして追加しました。小さなお子さんがいる社員たちが考案した、星型の野菜を散りばめたチャイルドミールも用意していますので、ホノルル線ならではのメニューも楽しんでいただけたら嬉しいです。


空の上でも好きなものが食べられるように、新しいオーダースタイルを導入。

―ZIPAIRでは、自分でメニューを注文するセルフオーダー式なんですよね。

太田:LCC初のサービスとして、機内のWi-Fiを利用してスマートフォンやタブレットから、軽食をはじめとした機内販売品を注文できるシステムを導入しました。完全キャッシュレス決済ですので、客室乗務員との接触回数も最小限にすることも可能にしています。

機内食も、フルサービスキャリアのように1~2種類から食事を選ぶのではなく、ラインナップの中からご自身のお好みで購入いただくオーダースタイルです。(事前注文の食事はこちら

機内で購入できるものと事前予約が必要なものの2種類をご用意していまして、軽食やスナック、飲み物は事前予約なしでご注文可能ですが、フードメニューによりご出発の3日(72時間)前、または1日(24時間)前のご予約が必要となります。

事前予約制にした大きな理由は、地上にいる時と同じように空でもお客さまが食べたいものをセレクトできるようにしたいという想いと、過剰な機内食の積載はフードロスや航空機の燃費を悪化させることにもつながり環境やコストバリューにも影響してしまうということからです。

―事前予約制の導入にあたって工夫した点は何でしょうか。

浜:食事の数はご搭乗いただく全員分を用意するわけではありません。そのため1日に作る数が確定しない段階で料理を作り上げてしまうと、食材を無駄にしてしまう可能性が出てきてしまいます。

そこで、完成する直前の段階で冷凍して保存し、注文数が決まった段階で一気に解凍して最終仕上げするという新しい取り組みに挑戦しています。

また、フードロス削減の面でも、牛すじ肉や野菜の芯といった食材の端材を捨てることなくダシを取ってソースのベースに利用するなど、無駄なく食材を使い切るよう取り組んでいますね。


フライト選びの基準になる機内食を目指して。

―「ぜひこれは食べてもらいたい!」というメニューは何でしょう。

浜:成田といえば“うなぎ”ということで、「国産うなぎのふっくら鰻丼」を考案しました。LCCの機内食メニューでは珍しいと思いますし、お値段もできる限り頑張りました。

太田:私は浜さんが直々に考案していただいた「スパイス香るZIPカレー」ですね。名前のとおり食欲をそそるスパイスの香りがたまらない、まるで専門店で食べるような味に仕上がっています。近くのシートで食べている方がいたら、おいしそうな匂いにつられてカレーを食べたくなってしまうのではないかなと思っています。

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―今後、挑戦したいメニューはありますか。

太田:ご搭乗いただく方に食事を選ぶ楽しみをご提供できるよう、お客さまの声を聞きながらこまめにメニュー変更にも取り組みたいと思っています。季節限定のメニューや、ZIPAIRの拠点は成田ということもありますので千葉県の食材だけで作るメニューにはチャレンジしてみたいですね。

―最後に、note読者の方にメッセージをお願いします。

浜:機内食は快適な空の旅の要素ですし、いろいろな人の思いが詰まっています。ぜひその思いを少しでも感じていただければ、料理人冥利に尽きます。

太田:私も飛行機に乗る時は、機内食を楽しみにしている1人です。ZIPAIRでは見ても楽しい、食べてもおいしい、ご搭乗いただく皆さんの気分が盛り上がるようなメニューを企画していきます。「この機内食を食べたいからZIPAIRを選ぶ」と言ってもらえるようなメニュー作りを目指します。


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