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逆境をチャンスに変えて“今できること”を。「太平洋を渡る、世界初のLCC」を目指すZIPAIRがアジア路線を拡大する狙いとは。

こんにちは。ZIPAIR note編集部です。

2020年、エアラインとして異例の貨物便というスタートを切り、私たちはバンコク、ソウル、ホノルルの3路線を飛び続けてきました。そしてこの2021年、ZIPAIRは9月にシンガポール線の運航を開始し、さらには台北への就航も予定しています。

いまだに新型コロナウイルス感染症の影響で世界が翻弄されているなか、アジアへ路線を拡大する背景とは。そして新しいエアラインとしてコロナ禍とどう向き合っていくのか。

これまでの歩みを振り返りながら、今後のビジョンを社長の西田真吾がお伝えします。

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プロフィール/西田真吾
1990年JAL(日本航空)に入社。国際線チェックインカウンター業務やホテルなどの関連事業を手掛ける部署を経て、マイレージ事業部に所属。2018年にZIPAIR Tokyoの代表取締役社長に就任し、現在に至る。

2020年は社員全員がその時にできることを前向きに、そして臨機応変に対応していった。

―2018年7月31日にZIPAIR Tokyoを設立し、社長に就任して3年。振り返るとどんな3年間だったのでしょうか。

とにかく目まぐるしかったですね。2020年5月14日の東京(成田)-バンコク線就航に向けて動いている最中で新型コロナウイルス感染症の拡大が始まってしまい、日本も含めて世界各国で入国規制が強化され運航が難しくなってしまいました。

就航準備は整っていましたが、どこの国へもお客さまを乗せて飛ぶことができない。過去に経験したことがない状況に、やむを得ず就航延期を決断しました。

―1カ月後に延びた6月の初便は、旅客便ではなく貨物専用便でした。異例のスタートでしたが、どのような考えで貨物便に切り替えたのでしょうか。

「乗る人がいない状況において、エアラインとして何かできることはないだろうか」と考えるなか、日本国内で消毒用アルコールの不足に伴い酒造メーカーが日本酒や焼酎を醸造するタンクで消毒用アルコールを作り始めたというニュースを見ました。

それをヒントに、飛行機に乗る人がいないなら貨物便として物資を運ぶことで、何か世のためにお役に立てるのではないかと発想を転換したんです。幸いにも私たちが所有するボーイング787-8型機はほかの機種と比べて貨物室がとても広く、最大25トンまで積み込めます。

最初は損得勘定をあまり考えず社会に貢献するという視点で貨物便に挑戦したのですが、実際に運航を始めると航空貨物の需要が増え、現在はZIPAIRの収支を支えるまでになってくれました。もともと航空貨物による収入は見込んでいたのですが、想定以上に助かっています。

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2020年は、世の中が目まぐるしく変化するなか、本当に全社員がその時点でできることを“今しかできないこと”と前向きに考えて動いてくれました。できないことを嘆くよりも、できることを作り出す。旅客便から貨物便への切り替えも含めて、今できることをやるという成功事例になったといえるでしょう。


コロナ禍だからこそ作ることができた、2つの大きな財産とは。

―今できることを着実に取り組んでいった結果、得られたことも多かったですね。

乗務員の訓練も順調に進めることができましたし、実はコロナ禍だからこそ作り出すことができた大きな財産が2つあります。

1つは、空港の発着枠です。ZIPAIRが就航する成田国際空港、タイのスワンナプーム国際空港、韓国の仁川国際空港はアジアでも人気のハブ空港。本来でしたら私たちのような新しいエアラインが参入してもなかなか希望の発着枠を取ることができませんが、このコロナ禍における各社の減便等により理想の発着枠を確保することができました。

LCCにとっては、安全に運航させることを前提に、機材の稼働率をできる限り高くして生産性を上げる必要があり“飛行機1機が1日あたりどれだけ飛べるのか”が経営のカギになります。成田・バンコク・ソウル間においては“1機で24時間のうち約18時間は空を飛んで、到着地で1.5時間の駐機を4回する”という、飛行機にとってまったくムダのないダイヤが組めました。これは本当に奇跡というしかありません。

そしてもう1つは人材です。2018年に会社を設立した当時は、世界各国のエアラインがパイロット不足に頭を抱えていました。ですがコロナをきっかけに海外で勤めていたパイロットの方たちが日本に帰国するケースが増え、ZIPAIRにも来ていただくことができました。ボーイング787-8型機の操縦資格を持ち即戦力になってくれる人をはじめ、「日本初の中長距離LCCの立ち上げにチャレンジしたい」という人が多く集まってくれたのも、私たちにとって大きな財産になりました。

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2021年にアジアへ路線を拡大。ポストコロナ時代を見据えたこれからのビジョンとは。

―コロナ禍でもできることを進めてきた2020年。今年はシンガポールへ飛び始め、今後は台北への就航を控えています。厳しい状況が続いているなかで路線を拡大する理由を教えてください。

現在ZIPAIRでは2機の飛行機を保有していますが、1機はバンコク・ソウルへ向けてほぼ毎日運航しています。残り1機はというと週1便でホノルルへ飛んでいるのですが、ほかの日は航空貨物の需要が高いバンコクへ貨物便を飛ばしています。ただ、貨物需要の状況が今後変わってくる可能性も十分にありますので、飛行機が乗り入れられる地点を増やしておくというのが狙いです。

―なぜいずれもアジア路線なのでしょうか。

例えば台北は半導体など、貨物需要があることはもちろんですが、この2路線は日本からのお客さまだけでなくアジアから成田経由でアメリカへ、またはアメリカからアジアへと人の移動による需要が見込める路線です。

現在は物資輸送の面で支えとなってくれますが、私たちが掲げている「太平洋を渡る、世界初のLCC」という目標を達成するにはとても重要な路線になると考えています。

乗り入れ地点の開拓は、事前調査や手続きなどを考えると短くとも半年はかかる。今のうちから開拓しておけば、移動がしやすい状況になったときに一から開拓するのとは段違いのスピードでお客さまを乗せて飛べるようになります。

また、成田国際空港は離発着時間の延長や滑走路の増設など、これから機能が強化されていきます。ポストコロナの時代では世界各国から日本へ訪れる人も増えるはず。アジアと北米間における乗り継ぎ需要に応えるLCCとして、その時にスタートダッシュができるよう準備していきたいと考えています。

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―今後は3号機、4号機の受領も予定されていますね。事業拡大も踏まえた今後の目標を教えてください。

ZIPAIRらしさをパワーアップさせていきたいと考えています。決めたら動くのが早いのが私たちの強みになりますが、事業拡大するにつれ意思決定のスピードを落とさずにどう攻めていくか。この攻守のバランスは再考していく必要があると思います。

200機持っているエアラインが2機増やすのと、2機持っているエアラインが2機増やすのではまったく違いますからね(笑)

―地盤をしっかり固めながら会社として成長していきたいですね。最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

ZIPAIRは、これまでのエアラインとまったく違う目線でサービスを組み立てて「NEW BASIC」を生み出しています。

皆さんもきっと「どこかに出かけたい」「飛行機に乗りたい」そんな気持ちを抑えていると思います。いつの日か、そのトンネルを抜けた時にお会いしましょう。そして私たちの「NEW BASIC」をぜひ体感してください。

その日は近いうちに必ず訪れます!

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