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これからの航空業界をどう生きていくのか。~西田真吾のフライトマップ #01~

こんにちは。ZIPAIR note編集部です。

人との距離や働き方、そして旅の形。コロナ禍で私たちの日々は様変わりしました。大きく影響を受けている航空業界は、この先どのような道をたどっていくのでしょうか。今回から始まる新連載「西田真吾のフライトマップ」では、航空業界やZIPAIRが置かれている昨今の状況、そして未来について考えていることを社長の西田がざっくばらんに語っていきます。

第1回は、コロナ禍における航空業界とZIPAIRがこの先に目指す姿。西田さん、ZIPAIRでやりたいことって何ですか?

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プロフィール/西田真吾
1968年、神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、JAL(日本航空)に入社。資金部、関連事業室、マイレージ事業部部長などを経て、2018年にZIPAIR Tokyoの前身であるティー・ビー・エルの社長、そして2019年に現職に。

昨今の航空業界で、チャンスはどこにあるのか。

コロナ禍に見舞われる以前の航空業界は、特に国際線におけるニーズは増加の一途をたどっていました。その追い風に乗って、LCCも非常に勢いづいていました。コロナが収束した際にはひとまずその水準まで戻ることを期待していますが、航空業界はさらに伸び代があると思っています。

五感で情報を得て、新しい時代を切り開くのが人間の本能だと思っています。昨今、体験型のサービスが支持を集めていますが、飛行機に乗って目的地にたどり着くというのもそうした五感を刺激する体験型サービスの一つ。

「それを低コストで実現するためのお手伝いをしたい」というのがZIPAIRの考えであり、今後そのニーズは高まると考えています。

現在は、といえば皆さんもご存じのように新型コロナウイルス感染症の影響がまだ続いています。状況が落ち着いてくればこれまでと同様に各国が少しずつ水際対策を緩和させてくるでしょう。

そうなるに従って需要が戻ってくるのはビジネスで渡航されるお客さま。一方で、LCCの主要ターゲットは観光のお客さま。ビジネス需要はどちらかというとLCCにとって対極にあり苦しい状況にあると思われるかもしれませんが、決してそうではありません。私たちのターゲットにはご家族や友人・知人を訪ねて渡航される方も含まれます。こうした生活需要は、ビジネス需要が戻ってくるのと同時期に少しずつ回復傾向を見せるのです。

ですからZIPAIRとしては、今はまず生活需要でご利用いただく方にフライトを体験していただいて、その声が波紋のように少しずつ広がって多くの方の知るところになればと思っています。

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正直に申し上げれば、コロナ禍がここまで長期化するとは予想していませんでした。2020年5月の初就航を延期して以来、まるで海の底で海面を見上げながらじっと息を潜めるヒラメのように、浮上するチャンスを伺っている気分でした。お客さまのご利用が見込めない分、航空貨物に活路を見出したのは、まさにそうです。こんな時だからこそ「今できることは何か」を前向きに探すことが大事なのだと気付かされました。

一番危惧していたのは仲間であるスタッフの士気が下がることです。しかし“太平洋を渡るLCC”という前例のないことに挑戦してきたスタッフの熱は、まるで冷めませんでした。昨年ロサンゼルス線がめでたく就航した際は感慨深いものがありましたね。

スタッフの意欲という点で、ZIPAIRが大切にしている考え方があります。それは“自分の仕事の中に思いを込める”ということ。ルーティーン化するのではなく、変化や刺激を自ら作り出すのです。

「絶対に守らなければならない品質はもちろん守りつつ、乗務員がその時に思いついたアイデアがあれば、それが本来の業務にないことでもどんどんやっていこう」というのがZIPAIR。そうすると、日々同じサービスにならないので、お客さまも毎回新鮮な気持ちご搭乗いただけます。組み合わせを自由に選べる制服を採用したのもそれが狙いです。こうした一つ一つの積み重ねが、お客さまとより良い関係を築き上げていくことにつながっていくのではないかと考えています。

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LCC市場の展望。ZIPAIRはそこでどう勝負をする?

中長距離を飛ぶLCCは私たちができる以前から既に海外にありましたが、その分野で成功したと言われている会社はないとされています。そう聞くと茨の道のように思われるかもしれませんが、私は“日本という国は中長距離LCCを成功させるには絶好の立地だ”と考えています。西へ飛べばアジア、東へ飛べばアメリカ、そしてそのアジアとアメリカをつなぐ役割も果たせるからです。北米への就航を掲げたのは、そのためでもあるのです。

しかし航空業界を包括的に見れば、私たち1社だけではダメなんです。まずはZIPAIRモデルを成功させること。すると、追随する他社が出てくるでしょう。そして競争が始まってこそLCC全体のマーケットが確立されてゆくのです。

現状、中長距離においてはフルサービスキャリアがメインになっていますが、今後はLCCという選択肢が一般的になっていくことを目標にしています。そのなかで重要だと位置づけているのが、ZIPAIRならではの付加価値を持たせること。お客さまのニーズに合ったサービスの企画や商品開発を試行錯誤しながら進めていますが、実は客室乗務員の働き方が有効な手立てとなっています。

ZIPAIRの客室乗務員は、企画サービス業務や空港業務といった地上勤務も兼任しています。新しいことを生み出すにあたっては、異なる視点を持った人間が多く集まる方がアイデアの幅が広がり、フィードバックも多く得られます。

それとこの働き方の大きなメリットは、サービスに対するお客さまの反応を客室乗務員がスピーディーにフィードバックできること。極端に言えば、客室乗務員が自分自身で考えたことを仕掛けて反応を見られる、つまり1つのプロジェクトを自分で完結することだってできるんです。

これはZIPAIRの大きな強みであると思っています。会社として決めるのではなく、現場の生の声を拾って出来上がったサービスの方がお客さまにとってよりリアルなメリットがありますから。

実は、とあるホームセンターの皆さんも私たちと同じようなやり方で商品開発をされていると知って、少し勇気をもらいましたね。

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さまざまな部署がワンフロアに集まっていることも、そのような取り組みを可能にしていると思います。まだまだ小さな会社なので、お互いの距離が近いんですよね。私のことも「西田社長」ではなく「西田さん」と呼んでくれますから。私としてはもはや「西田」と呼び捨てにしてもらっても構わないのですが(笑)。

役職は単なる役割。会社は一人一人がやりたいことを実現するための場だと思っています。ZIPAIRのスタッフに批評家は必要ありません。やりたいことがあり、それを自ら起こし周りを巻き込むことができる人が求められる。これはZIPAIRに限らずLCC全体に言えることかもしれませんが。


目指すのは“次世代のLCC”。そのうえではデジタル活用も欠かせない。

そのようなマンパワーと同時に、LCCにおいてはITの活用も重要です。ITは生産性向上のためには不可欠。特にコストがシビアなLCCにおいてはその比重はことさら高く、ZIPAIRでは決済やサービスの選択などをオンラインで完結させることで効率化を図っています。

ITは多品種少量生産に向いています。ZIPAIRでは機内食を事前予約制にしていますが、これは不要な方に提供しない分、運賃に反映しようという目的から。エアラインとしても事前に必要な機内食だけを用意すれば良いので、フードロス削減につながるうえに効率的です。それにより選べるメニューを増やすことが可能になりました。お客さま、エアライン、それぞれにメリットのある、まさにwin-winなシステムです。

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ZIPAIRは、LCCの次世代を担う会社でありたいです。それが設立当初からずっと掲げている「NEW BASIC AIRLINE」の意味です。コストを抑えるだけでなく付加価値を付けていくために、これからもさまざまなアイデアを実現化していきたいと思います。若い会社ゆえのフレキシブルさを生かし、またそれをこの先も変わることなく続けていきたいと考えています。

そのためには多様化するニーズを把握する必要がありますが、ヒントは日々の業務だけでなく生活の中にもあります。日本には真似したくなるシステムがたくさんあるんです。セルフオーダーシステムやオンライン決済、つまりスマホといったタブレット端末で完結できる仕組みも居酒屋のタブレット注文を見て思いついたんですよ(笑)。

徹底的にお客さまの立場に立ったきめ細かいサービスを手頃な価格で提供する。その両立は、日本の会社ならではと思っています。だから「次世代の中長距離LCC市場を作るのが日本のエアラインであるZIPAIRじゃなくてどうするんだ」という思いで、集ってくれた仲間と共に日々奮闘している次第です。


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<投稿コンテスト開催中!>
noteさんと一緒に「一度は行きたいあの場所」をテーマに投稿を募集しています。
応募期間は4月27日(水)まで。ぜひ皆さんの憧れの場所を教えてください!
詳細:https://note.com/info/n/nd2b900d6ea4b

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